2011年8月8日月曜日

佐々木敏光〜デザイン=生活〜


 6ヶ月になる我が子のためにと椅子を探していたところ、自分の子に使わせたい家具として佐々木敏光氏がデザインした子供椅子、New BAMBINI が目に留まりました。肘掛けと脚がひとつながりの弧をえがき、それが90度回転することで遊具としての木馬へと変化します。
 
 この椅子を子供の目から眺めたなら、たまたま食事の時に腰掛けるものが椅子とよばれているだけだということに気付かされます。ダイニングテーブルだって宿題をそこですれば勉強机ですし、ソファだってゴロンと横になったまま眠り込んでしまい朝を迎えたならベッドと呼んでもよいのかもしれません。
 
 ひとつの使い勝手に限定されずに、まずそこにある生活を受けとめられるのかが、よい家具の条件のひとつでしょう。モノにどれだけの力があるか、が佐々木氏のものづくりの信条と聞きます。多面的で変化に富んだ生活に向き合いながら、デザイナーという立場からの視点だけでなく、我が子の家具という使い手からの目線があった時初めて、モノが主役として振る舞うことを可能とするダイナミックで活動的な生が育まれるのではないでしょうか。

 デザインという言葉が氾濫している昨今、デザイン⇒生活でも生活⇒デザインでもなくあくまでデザイン=生活という地平を佐々木氏は見据えていたようです。

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